レポート

FORMULA DRIFT

Round8 IRWINDALE, CALIFORNIA Race report

2022年11月10日

 シリーズ最終戦。非常に重要なこの一戦、もちろん舞台はここアーウィンデールスピードウェイ。昨年も同じマシンで走行しているが仕様が大きく異なる為、練習走行でのデータ収集が非常に重要となる。そして、練習走行と本番の気温差が大きい為、路面温度によって大きく変わるグリップ変化に追従しなければならないのもアーウィンデールラウンドではキーとなる。

今ラウンド、PROSPECの開催がない為、公式練習と予選日が同日開催となる。予選までの時間の限られた、練習走行中にマシントラブルやクラッシュが発生すると試合運びがかなり難しくなる。チームとしては第一にギア比とタイヤ内圧、そして電動スロットルや各ギアでのブーストを見つけ出すことから始めることを決めていた。

 練習走行1本目、1本目とは思えない非常にスムーズな走りだし。ハイバンクの操作性は非常に高かった。しかし、ロアバンクに差し掛かったところでエンジンがストール。マシンをピットへ戻し、チームは急遽修理を開始した。20分ほど経過したところでチームは電力供給の不良がストールの原因であることをつきとめ、すぐに対応。再びコースへとマシンを戻した。先行走行のセットアップは順調に進み、追走用のセットアップを探りにかかったところで練習走行1枠目は終了。予定していたプランをほぼこなし、順調な滑り出しであった。

 練習走行2本目までにデータ取りとマシンのチェックを行った。予選前のこの走行枠では追走トーナメントに向けたセットアップを探りつつ、練習走行終盤には予選に向けた復習を行う予定であった。今ラウンドは晴天での実施とならなかったがゆえに、比較的練習走行時と予選本番の路面温度には大きな差が出ないことが見込まれた。

 練習走行2本目、4周目。予選に向けたシュミレーションを行うべく、先行にラインナップ。恐らく、週末一番攻めたであろう先行走行だった。ハイバンクは壁にテールがこするほど良いラインをトレース。インクリップ1では大きな角度をつけつつも車速は落としすぎずにロアバンクへ進入。進入のラインもかなり良く、アウトラインをトレースし始めたところで、まさかの再びエンジンストール。もちろん、パワーステアリングも失った。一瞬に一度のことが起きてしまったが、アウトライン壁際でパワーステアリングを失ったマシンは一直線に壁は直撃。ほぼ90度で壁に接触してしまい、自身はもちろん、マシンにも大きな衝撃が走った。マシントラブルによる大クラッシュ後、マシンはピットへ運ばれた。ホイール、サスペンションはもちろん、メインフレームが引きちぎれるほどの大きなダメージ。ストールの原因はクランクプーリーの損傷。クランクシャフトのプーリー用固定ピンが欠け、その瞬間にプーリーボルトが緩み、プーリー本体が脱落していた。その為、エンジンは止まり、パワーステアリングには油圧がかからなくなった。予選まで2時間半。大事な一戦でリタイアするわけにはいかない。チーム総出で、暫定的なフレーム修正、右フロントサスペンションの全交換、プーリー部の修理を行った。

 予選直前。チームはマシンを形にした。大きなダメージではあったが、予選を走行することができるほどまでにはもっていってくれた。そのマシンをスタートラインへと運び、ウォームアップを開始。しかし、数秒経ったところで再びクランクプーリーが脱落。その時点で私たちの最終戦リタイアが決定した。

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