レポート
Round2 オーランドスピードワールド、フロリダ
Round.2 2021 年 5 月 21 日 予選日。
予選前に1 時間の練習走行が用意された。ここでは予選に向けた最終調整と追走を視野に入れたセットアップを行う。この日の 1 周目は先行走行を行った。マシンの感覚、コースの感覚は非常に良いものが持てていた。マシントラブルは一切無し。チーム、そしてエンジニアと共にマシンのセットアップに集中できるという非常に良い流れであった。練習走行最終ラップ。単走予選へのイメージは十分と踏み、追走に向け後追い走行の調整。しかし、スタート直後に 4 速へのシフトアップができなくなる。トランスミッションのシフトリンケージ不良が発覚し、チームは予選走行直前の修理が余儀なくされた。ギア比を変更し、 4 速ギアを使用せず予選を走るという案もあったが、練習同様のセットアップで万全な状態で予選を走らせたいという気持ちから、チームはスペアトランスミッションへの換装を決意。僅か 30 分でそれらの作業を完璧にやってのけてくれた。
予選はキックアウト制。1 本目でしっかりと高得点を獲得するイメージを持ち、ミッション交換を終えたマシンをスタートラインへ運ぶ。事前に設置した路面温度センサー・タイヤ表面温度センサーを確認し、練習走行時とどの程度それぞれの温度に変化があるかを確認し、スタート。すっかり日が暮れ、路温が下がった状態でもしっかりと自分の走りができた。全てのセクションで綺麗にまとめ、ライン・角度は申し分ない走行ができた。しかし、ニューカー初のバンクトラックであること、路面温度変化を必要以上に気にしてしまったこと、直前の 4 速ギア破損がスタート後もなお不安に感じてしまい、攻め切れない、いわば「置き走り」となってしまった。それにより、全域でアクセル開度が低くなったことを理由にスタイルポイント 迫力点 が伸び切らず87 点。 Rd.2 のキックアウト予選は 11 位での通過となった。
Round.2 2021 年 5 月 22 日 本戦日。
予選同様の天候。予選後チームはセットダウンを行い、本戦日に向け再度スペアトランスミッションを確保するなど準備を行った。
TOP32 の練習走行は 1時間。そこでは 32 台が同時に走行するため、基本的には 2 周ほどの走行となる。予選走行時とは違い、よりスピードを求めるべく、ファイナルギア、アライメント、リアタイアの内圧に変更を加えたうえで練習走行に臨んだ。 1 周目はセットアップ変更後でも先行を問題なく走行できるかの確認。 2 周目は後追い走行を確認。後追い時の走行ラインはイメージできたが、リアのトラクション性能にいまだ満足がいかない状態で TOP32 の走行となった。
TOP32の対戦相手はドライバーそして YOUTUBER として絶大な人気を誇る、 Adam LZ 選手 (NISSAN S15 SILVIA / NITTO 。 1000 馬力を出力する 2JZ を搭載したシルビアに 315 幅の NITTO TIRE を装着する彼は、練習走行から群を抜くスピードを見せていた。追走トーナメントの練習走行終盤にはマシンをコンクリートウォールに接触させるクラッシュをしており、対戦直前までマシンを修復していた Adam 選手。しかし、対戦直前に修復を終え、 2 台とも無事スタートラインにマシンを運んだ。 1 本目は先行走行。予選時よりファイナルギアを短くしていたため、ライントレースが小さくならないことを意識し、スタート。バンク最上段のラインをトレースし、バンクを降り始めたところで背後から接触される。なんとか姿勢を立て直し、フィニッシュラインを通過したものの、接触により Adam 選手の姿勢が乱れ、私に大きなアドバンテージ。入れ替えて後追い走行。ここでトラクション性能を確認すべく、相手を捕えようと試みるが、 Adam 選手にはついていけず。現セッティングではまだドリフトスピードが十分でないことを把握する。 1 本目のアドバンテージが大きく、勝負は私に軍配。 TO16 進出となった。
TOP16の対戦相手は昨年よりスイスから参戦しているドライバー、 Yves Meyer 選手 (BMW F92 / NEXEN 。昨年、シアトルラウンドでも対戦した同選手。 FIA インターコンチネンタル・ドリフティングカップでも活躍を見せる凄腕ドライバーの一人である。データがあればリアスプリングの変更ならびにスタビライザーの調整を行いたかったが、今トラックでは試していないセットアップの為、走行前にリアタイヤの内圧調整のみ行った。 1 本目は先行走行。自身の先行は悪くはなかったが、終始背後からYves 選手のエンジン音が途切れない状態。相手は常に背後に張り付いていたが、フィニッシュライン手前でアンダーステアを出し、ドリフトが戻ってしまったため、自身に大きなアドバンテージ。入れ替えて後追い。バンクはしっかりと相手の懐に潜り込んだ。しかし、インクリップ 1 後の振り返しにおいてタイヤスモークの中での相手の位置を読み間違え、車間距離が離れてしまう。その距離を保ったままフィニッシュ。良い追走ではなかったものの、 1 本目走行時の相手のミスが大きく勝負は私に軍配。 TOP8進出となった。
TOP8の対戦相手はベテランドライバー、 Fredric Aasbo 選手 (TOYOTA A90 SUPRA / NITTO 。同選手とは過去 2 回対戦をしており、どちらも負けを喫している。
今回はリベンジをしたいところ。 1 本目の走行は後追い。 Adam 選手同様、 NITTO TIRE を装着しており、ドリフトスピードが高いことが予想されたため、スタートに集中した。
スタート後、ドリフト開始までの直線区間で 1 台分ほどの距離が離れてしまう。バンクにおいてもその差は詰めることができず、距離を保ったまま、インクリップ 1 へ向かう。ここで私はその車間の差を詰めるべく、相手よりわずかに早くバンクを下った。しかし、ここで完全にラインがクロスしてしまい、タイヤスモークを潜り抜けたところにはコースは無かった。インクリップ 2 の手前でタイヤ 3 輪がコース上に出てしまうほど大きなコースアウト。後がなくなる。相手に大きなアドバンテージを渡してしまった。入れ替えて、後追い走行。勝負をひっくり返すべく、自身はこの週末において一番のスピードでバンクに飛び込む。バンクは最上段を駆け抜け、左足ブレーキを使用しマシンをインクリップ 1 の方向へ向ける。しかし、そこでパワーステアリングに異常を感じた。自力ではステアリングが回せないほど重くなる。なんとかねじ伏せ、マシンをインクリップ 2 へ走らせたところで、エンジンルームから大きな炎が上がる。すぐさま、アウトゾーン 2 の外側にあるエスケープエリアにマシンを走らせ、 Fredric 選手との接触を避ける。大きく上がった炎は数秒の後に消えるが、私に勝負権は無し。ここで走行は終了となってしまい、私たちは TOP8 で敗退を喫した。
出火の原因はパワーステアリングラインの破損によるパワーステアリングフルードへの着火であった。幸いにも、エンジンハーネスやエンジン本体にダメージは無く、重症には至らなかった。今回は、リア周りのセッティングをうまく決められず良い後追い走行を見せられなかったことが非常に悔しい。調整して次戦へ臨む。