レポート

FORMULA DRIFT

Round4 レイクエリースピードウェイ、ペンシルバニア

2021年7月29日

Round.4 (Friday) 2021 年 7 月 9 日
前ラウンド同様に、初開催となったペンシルバニア州レイクエリースピードウェイ。ミドルサイズのバンクトラックの同トラックはアーウィンデールスピードウェイ同様に反時計回りの審査となった。前ラウンドで応急処置を行ったリアサブフレームは新品に交換された。その後イリーラウンドの会場入り前にテストを実施する予定であったが、部品の配達に遅れが生じた為、テストはできず。しかし、スポンサー各社はタイトスケジュールの中でも部品形状に変更を加えるなどの柔軟な対応を行ってくれた。その中でも今期から使用しているサスペンションアームキット wisefab 社は私たちの FRS 用に新たに設計したリアアッパーアームを用意してくれた。会場入り前、わずかな仕様変更は施さず、チームはトラブルが起きた箇所の改善と修理に励んだ。ラウンド 2 で走行したバンクトラック、オーランドスピードワールドの走行データを元に、より速いドリフトを求め、リアスタビライザーとリアアライメントを変更した。金曜日。PROSPEC の開催がない今ラウンドは木曜日の練習走行がなく、金曜日の午後に練習走行をし、短い空き時間の後、夜間に予選が行われるというタイトなスケジュール。セットダウンやドライビングの分析時間が少ない日程であった。 3 時間の練習走行が 1 枠、予選直前にウォームアップ走行が 1 時間。ここでどのようにマシンをアジャストするかが非常に重要となる。
練習走行開始。まずは初走行となるレイアウトのチェックとマシンのコンディションチェック。簡単に見えるコースはスピードの緩急が強く、アウトゾーン2 周辺は路面が違うため、走行が容易ではない。マシンの調子は万全であった。 2 周の走行を行った後、まずは前後のブレーキバランス調整を行った。よりフロントブレーキを強く効かせるために、前 寄り のブレーキバランスに変更し、バンク走行中のコントロール性アップならびに車速の向上を狙った。走行の度に細かな調整を繰り返したのち、 5 周の練習走行を終えた。最終周ではトランスミッションのトラブルが発生。チームは次の走行枠までのわずかな時間の間にスペアのトランスミッションに載せ換えた。


予選直前のウォームアップ走行。開始直前に雨が降り始める。空には分厚い雲が見え、時間帯的に予選走行もウエット路面の可能性が非常に高まった。即座にフルウエット路面に合わせたセットアップに変更を行い、コースイン。ドライ路面では 4 速と 3速を使用していたコースを、ギア比変更なしに 3 速ホールドで走行。感触が良かった為、そのままのセットアップで予選走行に挑むことに。ウォームアップではウエット路面での走行を 2 周こなし、タイムアップ。十分な練習走行ではなかったものの、ウエット路面での走行には自身、マシン共に自信があり、不安要素はなかった。
予選走行。やはり路面はフルウエットである。ラウンド3 終了現在、ランキング 6 位につけている為、 6 番目の出走。日暮れ前に走行となった。路面が違うアウトゾーン 2 周辺は要注意エリアで、非常に滑りやすくさらには大きな水たまりができている状態だった。練習走行通り、3 速でバンクに進入。ドライの練習走行時より高い位置をキープしたままバンクを通過。バンクを下る勢いを保ったまま危険なエリア、アウトゾーン 2 に突入。ここも問題なく決めるが、アウトゾーン 3 で攻めすぎてしまい、右リアタイヤがコースアウトしてしまう。さらにはフィニッシュエリアに設置されているコーンにもヒットしたことにより減点。 1 本目の予選結果は 89pt となった。この点数で 9 位につけ、 TOP32 追走トーナメントへ駒を進めた。 90pt から 85pt の間に複数ドライバーが位置するという接戦の予選走行であった。

Round.4 ( 2021 年 7 月 10 日
本戦日。予選日とはうって変わって晴天となった。前日の雨により濡れていた路面は決勝日の朝一にはすべて乾き、完全ドライコンディションでのレースとなった。
TOP32 メインイベント開始前に 1 時間のウォームアップ走行がある。そこでは通常、多くて 3 本、少なくて 2 本の走行ができる。 1 周目は先行を走行した。前日にドライ路面でトラブルを起こしたトランスミッションは完治しており、車両のフィーリングはバッチリ。しかし、 2 周目の練習走行に臨む前にコース上でのクラッシュ・マシントラブルが相次いだ。マーシャルはそれらの車両の撤収作業に時間を取られた。 1 時間の練習走行時間はそれらの作業によりあっという間に時間を取られ、私には 2 周目の練習走行が回ってこなかった。追走前ウォームアップ走行にて後追い練習を行えなかったのは今レースが初めてであったが、前日の練習走行で数本こなした際の記憶を信じ、マシンをスタートラインに運んだ。

TOP32の対戦相手 は Norway 出身 FormulaD USA プロクラスルーキー、 Simen Olsen 選手(TOYOTA SUPRA MK5 / FEDERAL TIRE) 。 23 歳という若いドライバーでノルウェーの雪国で鍛えられたドライビングテクニックはテクニカルなコースレイアウトにも動じない。 1 本目は先行。アグレッシブな先行を意識し、走行。バンクで数回壁にヒットするものの体制は乱れないまま、アウトゾーン 1 を 通過。そこでラインが内側に入ってしまった Simen 選手のマシンがストレートになる。 ドリフト中の戻りは 0 点扱い。 ) 1本目の走行で大きなアドバンテージを得た。入れ替えて後追い。無理は不要。きっちりと全コーナーで合わせ切り、 TOP32 は勝ちを得た。
TOP16の対戦相手 は GTRadial USA ドライバー、 Travis Reeder 選手 (BMW E36 / GTRadial USA) 。小柄の E36 というシャーシに大パワーの V8 LS エンジンを搭載した彼のマシン。 GTRadial Champiro SX2 RS のグリップを大いに発揮する彼は TOP32 で驚異的なドリフトスピードを見せていた。 1 本目は先行。車速の速い相手から逃げ切ることは考えずに、ライントレースを完璧にとることを意識。バンクへ進入。後方からは Travis 選手のエンジンサウンドが聞こえる。かなり近い。バンクを降り始め、振り返してアウトゾーン 2 へ。そこで後方から強く接触される。スピン直前で立て直し、フィニッシュラインを通過。そのあたりでスピンしている Travis 選手の姿が見える。アドバンテージを取った様子。入れ替えて後追い。車速の高い Travis 選手に置いていかれぬようバンクの進入を意識。近距離とは言えぬものの全コーナーでしっかりと相手を捕え、勝負あり。 TOP16 を 勝ち進んだ。

TOP8の対戦相手 は Ford ワークスベテランドライバー、 Chelsea Denofa 選手 (Ford Mustang RTR / NITTO 。 1400 馬力を発揮する大柄なマシンを操る彼は常にアグレッシブなスタイル。大きな角度を付けつつ、旋回スピードもとにかく速い。 1本目は先行走行。きっちり決めなくてはならない。バンクへ進入。アクセル開度も高く維持でき、問題はない。バンクを下りアウトゾーン 2 へマシンを運ぶ。しかしここで少しラインを外してしまう。アウトゾーン 2 の中間地点でゾーンにマシンを運ぶような形になり、少しミスが出た。アウトゾーン 3 はミスはなかったが、 Chelsea 選手は背後にぴたりとつけている様子。スポッターからも、先行のミスを取り返すために後追いは攻めて行けという指示が入る。入れ替えて後追い。とにかくスタートとバンクで置いていかれぬよう意識してスタートした。スタートは問題ない。しかし、お互いドリフト状態でバンクに入ったところで、じわじわと距離を離される。 1.5 台分は車間が離れてしまったか。アウトゾーン 2 で再び詰め寄り、アウトゾーン 3 は完全にとらえたが、勝負をひっくり返すまでには至らないか。勝負は Chelsea 選手に軍配。残念ながら、 Rd.4 は TOP8 にてトーナメントを退くことになった。
Rd.2オーランドスピードワールド 同様、バンクトラックでのマシンセットアップを詰め切れていないことが今回のラウンドを通して明白となった。 Rd.5 はシアトル。ここは更にハイスピードなバンクトラックである。練習走行からプランをしっかり決め、次戦は表彰台を目指して戦う。 Rd.4 終了段階でシリーズ 6 位。後半戦で更に上を目指す。

 

 

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