レポート

FORMULA DRIFT

Round7 GRANTSVILLE, UTAH Race report

2022年10月12日


2022年9月16日
初開催となる、ユタモータースポーツキャンパス。前ラウンドのシアトルとはうって変わり、フラットで道幅の広いロードコース。加速区間はシリーズで一番長く設けられ、進入速度は160キロを超えるハイスピードトラックとなった。初開催ということで、走行データは一切ない。事前に、データエンジニアと共にレースシュミレーターを使ってギア比やシフトアップのタイミングを確認し、セットアップの予想値を固め会場入りした。今ラウンドはプロスペックと併催のレースであった為、スポッターを務めるNateからインフォメーションをもらい、公式練習に臨んだ。公式練習は1時間半が2枠であったが、結果的には進行の遅れにより全ドライバー5,6周ほどしか走行できず、初開催のトラックを走るドライバー・チームにとって過酷な条件となった。
練習走行では、NOSシステムの噴射量、タイミング、ブースト制御、タイヤの内圧、ギア比、ショックの減衰力の調整を重ねたが、僅かな練習走行で満足のいく感触が得られなかったというのが正直な感想であった。加速区間の全長が長いことから、車速の差が大きく出ることを懸念し、前ラウンド、シアトルから試験的に導入していた各ギアでのブーストコントロールを今ラウンドから本格導入。1速から4速それぞれのブーストをコントロールし、無駄なホイールスピンを生まないことを狙った。 狙ったセットアップはかなり完成度が高く、1100馬力という大パワーを持っても、ドライバーはアクセルを踏み抜くことができる、実用性のあるパワーグラフを手に入れることができ、今後の可能性を大きく見出すことができる有意義な内容となった。
予選本番。出走直前に、NOSシステムの不具合が出たが、チームはすぐに対応。ノントラブルの状態で予選を迎えた。予選走行は練習走行同様、日中に開催。その為、路面状況の変化は大きくなく、練習走行と同様のセットアップの状態でマシンをスタートラインへと運んだ。1速でシケインを抜け、2速以降、4速まで全開状態で1コーナーに向けて、加速。進入速度は時速158キロをマーク。振り出しのアングルも良い状態で、OZ1, OZ2へとマシンを運ぶ。IC2は少しワイドな印象があったものの、全体的には大きなミスはなし。結果的には89pt, 予選は16位という順位で決勝日へと駒を進めた。

2022年9月17日
決勝日。 TOP32の対戦相手はGTRadial USAチームメイト、ニュージーランドから参戦するPROクラスルーキー、Darren Kelly選手(Aston Martin Vantage /GTRadial USA)。1本目は先行。振り出し時に角度がつききらず、引っ掛かってしまったが、他はミスなくフィニッシュラインを割った。それに対して後追いのDarren
選手は近い距離をキープ。しかし、OZ3に向けての振り返しにて、私が巻き上げるタイヤスモークに視界を遮られ、Darren選手は大きくイン側へダイブ。お互いにミ
スがあったが、相手のミスの方が大きいとチームは判断。入れ替えて後追い。ミスなく、まとめる後追い走行が自身に求められた。スタートは少し距離をあけ、2台
で1コーナーへと進入。一定の距離を保ったクリーンな追走ができたが、OZ3にてDarren選手の右リアタイヤがコースアウト。ここで勝負は私に軍配。TOP16へと駒
を進めた。
TOP16の対戦相手はシリーズランキング2位、ベテランドライバーであるFredric Aasbo選手(TOYOTA A90 SUPRA / NITTO TIRE)。 過去2度の対決経験があるが、完敗を喫している相手。今回はリベンジをすべく、Fredric選手の走行は念入りに研究。ドリフトスピードが速いことは明確に分かっていたので、スタートには特に気を付けなければならない。1本目は後追い。Fredric選手がスタートし、シケインに差し掛かったタイミングで、フルスロットル。スタートは成功し、相手のすぐ背後から1コーナーへと進入することができた。2台の進入速度は時速169キロ。その後、相手の懐に入り切ることはできなかったものの、離されることもなく、ミスなくフィニッシュラインを切った。ミスがなかった私の後追いに対し、Fredric選手はIC1を外すミス。入れ替えて先行。ここで求められることは、ミスが無い完璧な先行である。スタートし、1コーナーへと進入。ラインに乱れはなかったものの、TOP32同様、振り出しの角度がつききらず、引っ掛かってしまう。その他エリア、自身の先行にミスがなかったものの、後追いのFredric選手は終始背後に張り付いていた。両者の先行走行にわずかなミス。後追いを比較したところでわずかに勝負は相手に軍配。初開催のユタラウンドはTOP16でトーナメントを退いた。しかし、Fredric選手との過去2度のバトルは完敗していたのに比べ、今回は車速面でもジャッジ面でも十分に勝負ができていることを実感。昨シーズンに比べ、自身、そしてチーム、マシンの成長を感じることができた1戦であった。

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