レポート

SUPER GT

Round7 AUTOPOLIS 決勝レポート

2025年10月20日

Rd.7 決勝 レポート
戦略が光るレース展開に

 

◆長丁場のレースで挽回なるか

シリーズランキング9位、トップとの差21.5ポイントで迎えるこの大会で、最終戦に望みを繋ぐためにも18号車は何としても上位フィニッシュを掴み取らなくてはなりません。
予選での悔しい結果を受け、エンジニアとドライバーは入念なミーティングを重ね、セッティングを予選前の状態に戻すという大胆な決断を下します。
この変更が吉と出るか凶と出るか、昼前から始まったウォームアップ走行では、タイヤのピックアップがやや懸念されるコンディション。
午前中にはレース中の降雨も予想されていましたが、スタート時間が近づくにつれて、オートポリスの空は回復傾向へと向かっていました。

今回もスタートドライバーは野村勇斗選手が務めます。
昨日のQ2は大きな期待を感じながらも不完全燃焼で終わってしまったことを非常に悔しがっており、レース前のグリッドではP17からのスタートという厳しい状況ながら気合十分といった様子。
オープニングラップでは、500クラスの車両が1コーナーでスピンする波乱によりイエローフラッグが提示されたことで、1コーナーでの直接的なオーバーテイクこそ叶いませんでしたが、野村選手は果敢に攻める姿勢を崩しません。
2周目には巧みなドライビングで2つのポジションを上げP15へ浮上すると、500クラスとの混走を最大限に利用し、さらに2つポジションアップしてP13まで順位を押し上げました。
その後は、同じくAMG GT3を使用する4号車に巧みに抑えられてしまう場面もありましたが、悪くないペースで周回を重ねてレース中盤戦へ。
後方からの追い上げが必須となる状況で、チームは極力ピットインのタイミングを遅らせる「オーバーカット戦略」を選択。ライバル勢が続々とピット作業を行う中、18号車はステイアウトを継続し、ラップタイムが落ち始めたレース開始から1時間10分ほど経過したタイミングで満を持してピットイン。
小林崇志選手へとドライバーチェンジを行います。

 

◆レース中盤での戦略変更

しかし、ここからチームは新たな課題に直面します。
小林選手はアウトラップからタイヤに熱を入れつつ果敢に攻めるものの、タイヤのピックアップに苦しみ、なかなかペースを上げることができません。
野村選手の第1スティントから路気温やタイヤなどコンディションはほとんど同一であるだけに、ペースの改善を試みる小林選手も打つ手がない状況です。
この状況を見た監督とエンジニアは、野村選手とのドライビングスタイルの違いがピックアップの有無の原因であると推測します。
そして、小林選手のスティントをミニマムの1時間で切り上げ、再度野村選手へと交代するという、異例の戦略変更を決断しました。

残り1時間を切ったところで、小林選手がピットイン。
非常に短い給油時間の中でドライバー交代をミスなく終えるとP12でコースへ復帰します。
タイヤのウォームアップが完了すると野村選手は瞬く間に大幅なペースアップを遂げ、レース後半のファステストラップを連発する狙い通りの展開に。
ピットアウトから10周ほどで次々にライバルをオーバーテイクし、一気にP8へとポジションを上げました。
さらに
レース最終盤には、7番手の52号車と1秒以内という僅差まで詰め寄るものの、オートポリスのコース特性と、粘り強くブロックするライバルの前に、惜しくもオーバーテイクは叶わず。
最終的にP8でチェッカーフラッグを受けることとなりました。

厳しい予選結果から一転、戦略的な判断とドライバーたちの奮闘が重なり、大幅な順位アップを果たした18号車。
P8という結果は、チームの粘り強さを証明するものでしたが、自力でのチャンピオン獲得のために必要だった大量得点を挙げることはできず、残念ながら自力チャンピオンの可能性は潰えてしまいました。
しかし、上位チームのノーポイントなど、非常に厳しい条件付きではありますが、トップとの差は23.5ポイントでチャンピオンの可能性は依然として残っています。

近年、18号車はシーズン終盤までチャンピオン争いの一角に加わることができていますが、実はチャンピオンの権利をもって最終戦に挑むのは初となります。
「Never Give UP GARAGE」というフレーズの通り、逆境でこそ輝くTEAM UPGARAGE。
参戦11年目でようやく到来したチャンスを掴むためにも、
表彰台の頂点へ立てるようチーム一丸となって挑みますので、最後まで応援をよろしくお願いいたします。

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