レポート

FORMULA DRIFT

Round1 Long Beach Race report

2022年7月7日


予選直前に練習走行のセッションが設けられた。練習走行本数は例年のルール同様、予選走行前に12 周が与えられる。今ラウンドは 2 日間のイベントの為、練習走行と予選が同日に実施される。午前中に練習走行を行い、午後には予選というタイトなスケジュールだ。私たちが2021 年に導入した VR86 は、オフシーズンの間、最終戦のクラッシュの修理とターボのサイズ変更が行われた。ターボのサイズは昨年のものに比べ、一回り大きなものに変更され、最高出力は 1300 馬力。今ラウンド開催前にダイナパックでコンピューターセッティングを確認し、会場へ入った。
昨年開催されたロングビーチの際の走行データを元にギア、サスペンション、タイヤの空気圧等イニシャルの設定を行った。

練習走行1 本目。昨シーズン、 8 ラウンドを共に戦った VR86 は私が知っている VR86 ではなくなっていた。まるでコントロールができない。そして、ステアリング系統に異常を感じ、コース内にマシンをとどめ、クラッシュを避けることで必死な状態。まるで審査ラインである壁沿いを走れる状態ではなかった。メカニックに現状を伝え、すぐにピットイン。データロガーを確認し、ステアリング周りのチェックを行った。エンジニアが再度コンピューターのセッティングをトラック上で行ったが、症状は良くならず。ブーストコントロール不良が発生し、スロットルでパワーをコントロールできない。正直、危険な状況であった。メカニックはアライメントの変更を加えた。練習走行4 本目が終了したところで、セッションが終わる。トラブルシューティングに時間を割いていた私たちは十分に練習走行を行うことができなかった。しかし、私は同コースを過去 3 年走行している。練習走行が少なくとも、マシンが思い通りに動けば予選への不安はない。セッション終了後にマシンをピットへ運ぶ。予選が開始された。

予選走行までの数十分の間に再度エンジニアがマシンのロガーをチェック。そこでブーストの異常とエンジンクーラントの圧力の異常が発見される。ブーストプレッシャーの異常は練習走行中に何度か起きていたが、クーラントプレッシャーに異変があるのはこのタイミングでわかった。ここに異変が起きるのは、ウォーターポンプの破損か、エンジンの破損しか考えられない。予選直前、チームは急いで原因究明に取り掛かった。
数分経ったところでメカニックから知らせを受ける。結果は恐れていた、エンジンブローであった。6 気筒のうち、爆発しているのは 3 気筒のみ。ヘッドの破損か、ガスケットの破損か、ブロックの破損か、明確な原因をこの時点では追うことができなかったが、大きなダメージ。チームオーナーの Jerry と予選について判断した。
このまま走行するのはドライサンプシステムの破損やエンジンの全損にもなりかねないということで、重要な開幕戦ロングビーチは、非常に悔しいリタイアとなった。

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