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SUPERT GT

【2018 SUPER GT 第6戦 菅生300km】レポート

2018年9月20日

期待のラウンドも不運に見舞われ悔しい結果に

【予選】天候:曇り 路面 ドライ 気温/路面温度 Q1開始時23℃/25℃
Q1:1’19.325 GAP 0.660 16番手/28台中 Dr.YUHKI NAKAYAMA

【決勝】天候:晴れ 路面:ドライ 気温/路面温度 スタート時:26度/37度、30周:28度/38度、60周:26度/33度
1st:SUBARU BRZ R&D SPORT 井口/山内 1:53’01.934
2nd:GAINER TANAX triple a GT-R 星野/吉田 +6.302
3rd:グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口/片岡 +18.117
11th:UPGARAGE 86 MC 中山/小林 +23.544

長い長い10時間耐久レースのSUZUKA 10 HOURSから早3週間。9月に入って暑さも和らぎ、秋の様相を呈してきたスポーツランドSUGOにてSUPER GT Rd.6が開催された。SUZUKA 10 HOURS用に交換していた、細かい部品をSUPER GT仕様に戻し、しっかりとマシンをチェックし万全の状態で菅生ラウンドに挑んだ。

今回の菅生ラウンドは、激化するチャンピオン争いにおいても非常に重要である。スポーツランドSUGOは全体的にコース幅が非常に狭く、高低差もありトリッキーなコースで、毎年クラッシュなどの波乱があり、魔物が住むコースと言われているが、マザーシャーシ車両にとっては、コーナーリング勝負となるコースのため、比較的得意とするコースだ。昨年の予選も2位獲得と結果も出ており、期待の高まるラウンドである。

 

公式練習日&予選日となる14日は、朝から厚い雲が空を覆い今にも雨が降り出しそうな模様。公式練習はなんとか雨は降らずドライでの走行となった。走りだしは中山選手で、まずはタイヤの比較を行う。今回はミディアム系の2種類のタイヤをテスト。持ち込みのセットアップに若干不安を抱えながらも、中山選手のコメントを基にタイヤは固めのミディアム系に決定する。コーナー進入時のリアの挙動が不安定なため、リアのアライメントの変更を行い、小林選手にチェンジ。セットアップを進めて行く。細かくセット変更を行っていたが、ダクト系のパーツに不具合が見つかり、変更したところ、中山選手が指摘していたリアの不安定さはなくなり、安定した挙動になった。さらにフロントの細かなセットアップも進めて行くが、セッション中盤にきて、雨がぱらつき始める。降り始めは雨量も少なく、路面はまだドライに近く、そのままドライタイヤでのセットアップを続ける。各車ちょい濡れ路面の影響かタイムが落ち始めていったが、小林選手はほぼペースを落とすことなく、順調にラップを重ね、走行中はトップタイムを連発。抜群のマシンコントロールセンスを魅せつける。セッションも終盤になってくると多少雨量も増し、ウェット路面に。車重が軽い部分が裏目に出てタイヤのグリップを出しにくい特性のあるマザーシャーシだが、今シーズンはウェットでのタイヤのテストも重ね、徐々にウェットでのフィーリングも向上しており、ウェットになった菅生でも、タイムは常に上位をマークし、ウェット路面でも戦える手応えを得た。その後も安定して、走行を重ね、セッション終了。ベストタイムはセットアップが進む前のドライでのタイムだったため、1’20.155で16番手という結果に。しかしながら、マシンの仕上がりはよく、ドライバーのフィーリングも非常に向上しており、予選も期待が高まる展開。マシン的に有利なものの、コース幅が狭くオーバーテイクは簡単ではないので、予選の順位も非常に重要となってくる。

 

今回のGT300クラスの予選は、A組・B組と各14台2組に分かれて行われた。コース幅の狭いコースで30台近くが走行するGT300クラスの菅生予選は、満足にアタックすることができないことが多いための配慮がなされての形となった。各組14台中7台がQ2進出となる。

TEAM UPGARAGEはB組で予選Q1は中山選手ドライブで挑む。B組のライバルは、同じ86マザーシャーシのHOPPY86MCの25号車や調子の良いTOYOTA PRIUS apr GTの31号車・GAINER TANAX GT-Rの11号車など強豪のひしめく組だ。午前中の雨も止み、雲は多いものの、路面は乾き始め併催のFIA F4の走行もあり、レコードラインはドライに。A組は、8月のタイヤテストから好タイムをマークしているSUBARU BRZ R&D SPORTの61号車が1’18.665をマークしトップ進出。A組終了から5分後の14時15分にB組がスタートされた。各車コースインし、タイヤのウォームアップをしていく。しかし、B組予選開始直後にクラッシュし、大破した車両があり、なんとコースイン1周目から赤旗提示でセッションはストップとなってしまう。車両回収とコース整理が行われ、再スタート。この間に空からは雲が無くなり、晴れ間が差し込む。これにより路面温度は上がり、多少コースコンディションも変化し始める。各車一斉に再度コースイン。残りは8分からの再開となった。中山選手もタイヤのウォームアップをしっかりと行い、アタックを始める。路面温度が想定よりも上がっており、タイヤ内圧が上がりすぎてしまい、マシンはアンダーステア傾向が強く、思うようにタイムが上がらない。難しい状況の中、中山選手は集中力の高い走りで1’19.325をマーク。この時点で6番手タイム。Q2進出ギリギリのラインだが、タイヤ内圧は上がり切ってしまい、これ以上のタイムアップは不可能との判断で、ピットイン。ライバルの動向を見守る。セッション最後の最後でアタックをしてきた車両がタイムアップを果たし、8番手に転落してしまい、悔しいQ1敗退。Q2進出ラインの7番手との差は0.016秒と非常に僅差での戦いであった。燃料を多めに積み、セッションギリギリまで走行をし、タイムを出す作戦であったが、コンディション変化による、タイヤ内圧の上昇が大きく響いてしまい、マシンのマネジメントの難しさを痛感する予選結果となった。

 

決勝日は、朝から好天に恵まれ秋らしい陽気に。サーキットにも、2万8千人もの多くのモータースポーツファンが駆けつけ、非常ににぎわいを見せた。

予選はコンディション変化にうまく対応できず、悔しい結果となってしまったが、マシンの仕上がり非常に高く、ドライバーのフィーリングも今まで以上に良い。ウォームアップ走行でも安定して上位タイムをマークしており、決勝ではピット戦略も絡め上位が期待できる展開。

作戦は、前半タイヤ・燃料をセーブし、ピット作業時間を削り、後半でペースを上げジャンプアップを狙う。決勝スタートドライバーは優勝を勝ち取った岡山ラウンドでも、抜群のマシンマネジメント力を発揮した中山選手が担当。スタート直後パワーの勝るライバル2台にストレートでオーバーテイクをされ、2つ順位を落としてしまうが、マシンの仕上がりはよくペースは非常にいいのでマシンを温存し、様子を見つつ、抜き返したいところ。しかし、レース開始3周目のヘアピン進入でインを差してきたライバルがオーバースピードで減速しきれず、UPGARAGE 86に接触。さすがの中山選手もこらえきれずにスピン。ここで、順位を25番手まで落としてしまう厳しい展開に。しかし、中山選手もここで諦めることはなく、21秒台~22秒の非常にいいペースでラップを重ね、順位も22番手まで戻して22周目にピットイン。中山選手が上位と変わらぬペースをしっかり保ちつつ、タイヤ・燃料共にしっかりとセーブしてくれたことで、ピット作業はタイヤ左側2本交換、燃料も想定より少ない時間で補給が完了でき、タイムを稼ぐことができ、ここで小林選手にチェンジ。しかし、先ほどのスピンが影響し、発進時にクラッチが張り付きを起こしてしまいタイムロス。実質の順位を1つ落としてしまう。コースインし、小林選手は遅れを取り戻すため、ハイペースでラップを重ねて行く。スティント中盤、ライバルとの熾烈なバトルを展開するが、無理をしすぎずタイヤを温存しつつ、後半のスパートに賭ける。その後も順調にラップを重ね、13位まで順位を回復。一時は25番手まで順位を落としたものの、ポイント圏内も見えてくる展開に。63周を迎えたタイミングで、菅生の魔物が現れる。バトル中の接触でGT300のマシンがクラッシュし、セーフティーカーが導入される。これで、前の車との差はリセットされ、上位進出も見えてくる展開に。セーフティーカー導入中にトラブルでピットインしたライバルがいて、順位は12番手に。ポイント圏内まで、あと2つ。小林選手、チームの気合いもさらに高まる。そして71周目にセーフティーカー解除。再スタートとなる。小林選手は気合いのアタックで、ライバルをプッシュし続けます。この間にピットスルーペナルティを受けた車両があり、順位は自動的に11番手に。あと1つ。10番手のライバルを追い詰め、ポイント圏内目前まできた最終ラップになんと、HPコーナーで背後から強引に仕掛けてきたライバルに接触を受け、その隙に別のライバルに交わされ、12番手に後退しそのままチェッカー。レースでは速さを見せつけ、いいペースで走行ができていたが、ポイントを目前にし、不運な接触で悔しい結果となった。レース終了後に、タイム加算ペナルティを受けた車両があり、最終的な順位は11位でレースを終えた。

 

今回の菅生ラウンドは、シリーズにおいても非常に重要で、マシン的にも期待が持てるラウンドであったが、不運が重なり非常に悔しい結果となった。しかし、マシンのセットアップは、かなり進んできており、ドライバーのマシンへの信頼度も高くなってきている。実際に今回のレースでも、ペースは表彰台の狙えるところで走行はできており、速さを見せることができている。菅生は悔しいラウンドとなったが、まだシリーズチャンピオンへの可能性はあり、逆に今回ポイントウェイトが増えない結果になったため、次戦のオートポリスで大量ポイント獲得の期待もさらに高まるので、しっかりと準備を行い、チャンピオンへ向け全力で挑んで行きます。

 

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